考古学フォーラム情報BOX483
◆ 展示会・講演会・研究会========
● 考古学フォーラム「尾張低地の縄文時代—馬見塚遺跡とその周辺—」
開催主旨:
縄文時代の遺跡は、現況での台地・丘陵部などで確認されることが多いなか、尾張低地帯には縄文時代の遺跡が存在することが、戦前から知られていた。1960年代以降に継続して刊行された『新編 一宮市史』では、当地が扇状地から沖積平野にかけて位置することを重要視しており、縄文時代の遺跡も、自然堤防と後背湿地による表層微地形からなる自然堤防帯に立地することを特徴とした(澄田・大参・岩野1970)。その後、盆地を含めた低地に縄文時代の遺跡が存在することを、東海西部を含めた西日本域の特徴として論じられたこともある(渡辺1978)。
これらの遺跡の中で、馬見塚遺跡はその代表格といえる。尾張低地帯で初めて認識された縄文時代遺跡であるのみならず、多量の遺物を含む包含層の存在、石棒類や石冠などの石製品の多量出土、土器棺墓・焼骨などの埋葬遺構の存在、土器編年の基準資料、農耕をはじめとして縄文時代から弥生時代にかけての移行期の問題など、今日的にもこの遺跡への注目度は極めて高い。しかし、馬見塚遺跡は、これまで遺物出土地および調査地が地点として把握されているのみで、全体の構造的把握につながる遺跡形成過程については未だ明らかになっていない。近年、この不明瞭であった馬見塚遺跡の様相について、再検討作業が始まっており、一定の成果が挙りつつある(川添・鬼頭2012)。その後も馬見塚遺跡についての検討作業は継続に行われており、より具体的な資料提示ができる段階となってきた。但し、当時の活動様相を論じるには、馬見塚遺跡自体はもとより、近隣遺跡との関係を考慮することも必要不可欠である。その際には、それら各遺跡についても、馬見塚遺跡同様に遺跡の特性の評価を行わなくてはならない。
近年、縄文時代における低地での活動復元は、西日本域のみならず、東日本域でも考えなくてはならない大きなテーマとなっている。縄文/弥生移行期のみならず、本シンポジウムでは、縄文海進・海退後の尾張低地帯において、地質学・考古学の両分野を絡めて論じることで、当地域の縄文時代にどのような人間活動が行われたのか復元することを目標とする。さらに、そのような活動を行なった縄文時代社会とは何であったのか、その実体に迫りたい。
澄田正一・大参義一・岩野見司,1970『新編 一宮市史 資料編一 縄文時代』一宮市。
川添和暁・鬼頭 剛,2012「一宮市馬見塚遺跡における立地と遺跡形成についての覚書」『研究紀要』13.1〜16頁。愛知県埋蔵文化財センター。
渡辺 誠1978「近畿縄文時代の遺跡と遺物(5)低地の縄文遺跡」『古代文化』30-2.37〜43頁。財團法人 古代學協會。
考古学フォーラム「尾張低地の縄文時代—馬見塚遺跡とその周辺—」
日 時:2013年11月16日(土)13:00〜17:00、17日(日)9:00〜15:00
場 所:妙興寺公民館 (〒491-0921 一宮市大和町妙興寺 2441-2 他)
名鉄名古屋本線「妙興寺」駅下車南口より徒歩7分(一宮市博物館東隣)
主 催:一宮市博物館・考古学フォーラム
日 程
○11月16日(土) 馬見塚遺跡研究の新展開
13:00〜受付
13:30〜開会挨拶
開催主旨説明
13:40〜14:10 「遺跡形成過程と出土遺物の様相」(川添和暁)
14:10〜14:40 「土器棺墓の分布と出土土器について」(永井宏幸)
14:40〜15:10 「儀器からみた馬見塚遺跡」(長田友也)
休憩
15:30〜16:30 討論「馬見塚遺跡の語るもの」(司会:川添)
○11月17日(日) 低地に展開する縄文時代遺跡の活動様相
9:00〜受付
9:30〜10:00 「尾張低地の縄文時代遺跡の様相」(川添和暁)
10:00〜10:30 「豊田盆地の縄文時代遺跡の様相」(高橋健太郎)
休憩
10:50〜11:20 「福井平野における縄文時代の遺跡立地と地形環境」
(田中祐二)
11:20〜11:50 「京都盆地の縄文時代遺跡の様相
-桂川右岸沖積低地を中心に-」(木村啓章)
昼食
13:00〜15:00 総合討論(司会:明治大学教授 石川日出志)
15:00〜 閉会挨拶
※上記発表内容および関連論考をまとめた冊子を販売予定です。
問い合わせ先:考古学フォーラム研究会担当 川添和暁
e-mail : NQC10551@nifty.com
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